どうやって聖書を読む?
一度開いてみて、何の話か分からずに閉じた経験のある人へ。どこから、何を、どう読むか — 平たい日本語で具体的に。
1 分で読了 · Envoy Mission 編集部 · 更新日 2026年5月29日
聖書を一度開いたことがある人なら、覚えがあるかもしれません。創世記の最初は読めても、レビ記あたりで法律と儀式の細かい記述に入ると、何を読まされているのか分からなくなり、閉じてしまう — というパターンです。聖書は分厚いし、複雑な書物の集まりだし、説明書もついていません。
このページは、初めて聖書を読もうとする人 (あるいは、一度挫折した人) に向けた、実用的なガイドです。宗教的な前提は置きません。「読んでみたい、でもどう読めばいいか分からない」という位置から始めます。
いくつかの用語をまず
このページで使う言葉を先に説明します。
- 聖書 とは、ユダヤ教とキリスト教の聖典の総称です。古い部分 (旧約聖書、紀元前約1500年から紀元前400年頃に書かれた) と、紀元一世紀のイエスとその弟子たちについて書かれた新しい部分 (新約聖書) があります。
- 旧約聖書 とは、聖書の前半 — 紀元前のユダヤ教の聖典に当たる部分 — のことです。古代イスラエルの歴史、詩、預言の集まりです。
- 新約聖書 とは、聖書の後半 — 紀元一世紀のイエスとその弟子たちについての文書 — のことです。
- イエス (ナザレのイエス) は、紀元一世紀のユダヤ地方に生きたユダヤ人の宗教教師です。キリスト教は、彼が同時に人となった神であったと主張しています。
- 福音書 とは、イエスの生涯を記した四つの短い伝記 — マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ — のことで、彼の弟子たちが彼の死後数十年以内に書きました。
- 使徒の働き とは、イエスの死後、初期のキリスト教運動が地中海世界に広がっていく様子を記録した文書です。
短く、正直な答え
最初に読むべきは、聖書の冒頭 (創世記) ではなく、福音書の中の一つです。最も短いマルコによる福音書は約90分で読み終わり、イエスという人物の輪郭を最も早くつかめます。聖書全体は、いずれそこに戻ってきて理解する形でできています。
なぜ創世記からではないのか
聖書は本というより、図書館に近いものです。66冊の異なる書物 (旧約39冊、新約27冊) の集まりで、書かれた時代も、ジャンルも、目的も、それぞれ違います。歴史書、詩、法律、書簡、伝記、預言、黙示的なビジョン — 全部が混在しています。
そして、これらすべてが「ある一つの人物の輪郭」に向かって書かれた、というのがキリスト教の伝統的な読み方です。その人物がイエスです。だから最初に、その中心の人物を知らないまま、辺縁の文書 (たとえばレビ記の儀式法、申命記の戦争規定) から入ると、何が起きているのか分からないまま読み進めることになります。
順序を変えると、ずっと読みやすくなります。
おすすめの初心者用の順序
このサイトで提案する順序は次のものです。多くの教会や入門コースでも同様の順序が勧められています。
1. マルコによる福音書 (約90分) 四つの福音書の中で最も短く、最も動きが速い、最も古い記述の一つです。イエスの生涯のあらすじを早くつかめます。
2. ヨハネによる福音書 (約2時間) マルコより内省的で、イエス自身が自分について何を語ったかに重点を置いた福音書です。文体が違うので、別の角度からイエスを知ることになります。
3. 使徒の働き (約3時間) イエスの死後、最初の信者たちが何をしたか、初期のキリスト教運動がどのように地中海世界に広がっていったかを記録した文書です。ヨーロッパとアジアの古代史としても面白く読めます。
4. 創世記 (約4時間) ここに来てから、聖書の冒頭に戻ります。世界と人間の起源についての古代の物語が、福音書とどう繋がるかが見えてきます。
5. ローマ人への手紙 (約1時間) キリスト教の初期の指導者の一人パウロが、ローマのキリスト教徒に宛てて紀元57年頃に書いた手紙です。キリスト教の主張が最も体系的に書かれている文書とされてきました。福音書を先に読んでから入ると、この手紙の中の用語が具体的に何を指しているかが分かります。
6. 詩篇 (旧約聖書の中の祈りと詩の集まり、約3時間) 150の祈りと詩の集まりで、人間の感情のあらゆる範囲 — 喜び、嘆き、怒り、混乱、信頼、恐れ — が、神に向かって正直に表現されています。順番に読む必要はなく、好きな箇所を開いてみる読み方ができます。
ここまでで、聖書のおよそ三分の一を読んだことになります。
どの翻訳を使うか
日本語の聖書には、主に次の三つの翻訳が広く読まれています。
新改訳2017: 原文に近い、読みやすい現代日本語の翻訳。今のキリスト教会で最も広く使われている翻訳の一つです。
新共同訳 / 聖書協会共同訳: カトリックとプロテスタントが共同で訳した翻訳。文学的で、日本語として整っています。
口語訳: 1955年の翻訳。古いが、日本語の文体としては今も読みやすい部分があります。著作権が切れて、無料で読めるオンライン版があります。
迷ったら、「新改訳2017」か「聖書協会共同訳」のどちらかを試してください。スマートフォンアプリ (たとえば YouVersion など) では無料で複数の翻訳を読み比べられます。
どう読むか — 具体的な作法
聖書は「一日五分」というよりも、「一回三十分ほどで一つの章を通して読む」方が、文脈が見えて読みやすいです。物語を細切れにすると、意味が分からなくなるからです。
読みながら、頭の片隅で次のことを問うてみてください。
- これは何の種類の文書か (歴史? 詩? 手紙? 法律?)
- 誰が、誰に向かって、いつ書いたのか
- 神について、人間について、世界について、何を主張しているのか
- 自分の今の状況とどう関わるか (ここは無理に答えを出さなくて構いません)
最初の問い — 「これは何の種類の文書か」 — は特に大事です。詩を歴史として読むと変なことになりますし、手紙を法律として読むと別の変なことになります。聖書の文書は、それぞれ別のジャンルなので、ジャンルを意識して読むだけで、ずいぶん読みやすくなります。
分からないところがあった場合
二千年以上読まれてきた書物なので、ほとんどの箇所には、長い注釈の伝統があります。難しい場面で立ち止まる必要はありません。読み続けて、また戻ってきても構いません。
それでも分からない箇所があったとき、参考書として次のものが日本語で手に入ります。
- 『聖書 新改訳2017 スタディ版』 (注釈付きの聖書)
- N. T. ライト 『シンプリー・クリスチャン』 (キリスト教の入門書として広く読まれている)
- C. S. ルイス 『キリスト教の精髄』 (古いが、論理的な入門書)
オンラインでは、英語ですが BibleProject (bibleproject.com) という無料のサイトに、各書のあらすじを5〜10分でまとめた動画があり、字幕や翻訳が充実しています。
「正しい解釈」について
聖書を読んでいて、「これが正しい解釈なのか」と不安になることがあると思います。短く言えるのは次の二つです。
一つめ、二千年のあいだに、ほとんどの大事な箇所には、キリスト教の伝統が合意してきた読み方があります。あなたが一人で全部の解釈を発明する必要はありません。
二つめ、それでも個別の箇所で違う読み方があり得ます。そうした場面では、ふつう「中心の主張」を見失わないようにしながら、「周辺の細部」については幅を持って読む、というのがキリスト教の伝統の知恵でした。中心とは、イエスが誰で、何を主張し、何をしたか、です。
イエス自身が、福音書の記録の中で、聖書全体について興味深いことを言っています。彼は弟子たちに、聖書 (当時は旧約聖書のみが存在しました) は「自分について書かれた書物だ」と主張したと記録されています。キリスト教の伝統が歴史的にこの読み方を引き継いできました。
それで、今は?
「読み始めたけれど、ここが分からない」「この箇所をどう読めばいいのか」という質問があれば、チャットで話すことができます。具体的な聖書の箇所でも、漠然とした感想でも構いません。話したことが記録に残ったり、誰かに知らされたりすることはありません。あなたが始め、あなたが終わらせます。
これは聖書のどこから来ているか
- ルカによる福音書 24:27 — 「モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、彼ら自身について書いてある事柄を彼らに説き明かされた」
- テモテへの手紙 第二 3:16 — 「聖書はすべて、神の霊感によるもの」
- 詩篇 119:105 — 「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です」
- ヨハネによる福音書 5:39 — 「聖書を調べなさい。あなたがたは聖書の中に永遠のいのちがあると思うからです」
- 使徒の働き 17:11 — ベレヤの人々が「果たしてそのとおりかどうか、毎日聖書を調べた」
- ヤコブの手紙 1:22 — 「みことばを実行する人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者であってはいけません」